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マタイの福音書の内容

マタイの福音書の概要

一般常識としての聖書解説新約聖書の内容>マタイの福音書の内容



レオナルド・ダヴィンチ作「最後の晩餐」(1498年)


一般常識として初心者にもわかるようにマタイの福音書の主要な登場人物、マタイの福音書の簡単なあらすじ、マタイの福音書の各章を簡潔にまとめた内容を解説していきます。



イエスが生まれてから十字架にはりつけにされて死んだ後に
復活するまでを描いた新約聖書のメインストーリー。



一般教養としてマタイの福音書の内容をサッと理解できると思うので、
ぜひ読んでみて下さい。

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マタイの福音書の主要な登場人物


バプテスマのヨハネ
ヨルダン川で人々にバプテスマ(洗礼)を行っている。
イエスが川に来た時に逆に洗礼を受けさせてくれと頼む。



イエス
神の力によって身ごもったマリヤという人から生まれた。
数々の奇跡を起こして神と信じられている。


ヘロデ王
本名ヘロデ・アンティパス
ユダヤの領地を占領していてイエスを殺すように命じる。



ペテロ
使徒(イエスの特別な弟子)の中でもイエスに従順。
イエスが天に消えた後の次巻「使徒の働き」の話の前半の主人公。
本名はシモンという名の漁師だが、
イエスにペテロという名をもらう。



祭司長たち
律法を重んじており、
律法を守らない者は殺していいと思っている権力者達。



ユダ
イエスの殺害の計画に銀貨30枚で協力する使徒。
イエスはそのことに気付いており、
最後の晩餐の場面でユダのことを名指しでいずれ裏切ると言った。

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マタイの福音書の簡単なあらすじ

神の力によってマリヤという女は身ごもり、イエスを産む。


イエスは様々な教えや奇跡を起こして信者を増やすが
祭司長たちに捕えられて十字架に張り付けにされて殺されてしまう。


しかし3日後にはイエスの墓から遺体が無くなっており、
使徒の前に現れて最後の教えをする。


※その後の話は「使徒の働き」につながります。

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マタイの福音書の各章ごとの内容まとめ

マタイの福音書は28章まであります。
新約聖書はこれと使徒の働きがメインストーリーになるので
ぜひ読んでみて下さい。


またまとめた内容を掲載しているので
原文を読むよりは遥かに時間もかからず、
理解もしやすいでしょう。


また
新約聖書は旧約聖書に比べて
絵画がとても多い
ので
挿絵を見ながらスラスラ読むことができます。



1章
旧約聖書の創世記で登場したアブラハムから
28代未来の子孫にイエスキリストがいた。


キリストはヨセフとマリヤの間に生まれた子供。
神の力によってマリヤはヨセフと知り合う前に身重になった。


マリヤは神の使いガブリエルによって
神の力で妊娠したことを知った。

サンドロ・ボッティチェリ作「受胎告知」(1489年)




ヨセフの夢に神の使いが現れて
「マリヤを妻に向かえ入れなさい。
身ごもっているのは神の力によるものです。
男の子を生むのでイエスと名付けなさい」
と言った。


ヨセフは夢の指示に従い、マリヤを妻に向かえ入れた。





2章
エルサレムのヘロデ王はキリストが生まれたのを知って
いずれ王になる可能性のある者の存在を認めず、殺そうとした。
※ヘロデ王は占星術士の占いによって新たに王になりうる者が生まれたことを知る。


ヘロデの家臣の学者たちを集めて
キリストがいるユダヤのベツレヘムに送った。



しかし学者たちは金や薬を持っていき、
ヨセフとマリヤにヘロデ王がキリストの命を狙っていると教え、
エジプトに逃げるように言った。

ヴィットーレ・カルパッチョ作「エジプトへの逃避」(1500年)


ヨセフとマリヤはヘロデ王が健在のうちは、ずっとエジプトに住んだ。
のちに学者たちが裏切ったことをヘロデ王は知り、怒り、
ユダヤにいた2歳以下の男の子を全て殺した。

ジオット・ディ・ボンドーネ作「嬰児(えいじ)虐殺」(1304年)

ヘロデ王が死ぬと神の使いがヨセフの夢に現れて
「もうイスラエルの地に戻っても大丈夫です」と教えた。


一時はイスラエルの地に戻ったが
ヘロデの父のアケラオがユダヤのエルサレムを納めていたので
ヨセフはガリラヤ地方のナザレに立ち退いた。



ここでイエスは育って大人になった。





3章
バプテスマのヨハネという人物がいた。
バプテスマとは洗礼という意味。


ヨハネの場合、ヨルダン川の中に入りながら
洗礼を受けさせたので水のバプテスマと呼ばれた。


ユダヤの荒野で教えをしていた。


エルサレム、ユダヤ全土、ヨルダン川沿いにいた人達は
ヨハネのところにいき、罪を告白し、洗礼を受けた。


イエスもヨハネにバプテスマ(洗礼)を受けに来たが逆にヨハネに
「私はあなたからバプテスマ(洗礼)を受けないといけません」
と言った。


イエスは
「今はあなたの洗礼を受けさせて下さい」
と言い、ヨハネもそれを承知した。


洗礼を受けて水から出たイエスは
天から神の使いの鳩が来て
「神は喜んでいる」
と声が聞こえた。

アンドレア・デル・ヴェロッキオ作「キリストの洗礼」(1472年)

ヨハネの洗礼をイエスが受けたときに
ここで初めて神の声が聞こえるようになった。



4章
イエスは悪魔の試みをうけた。
40日間の断食をし、イエスは空腹の極限まで達した時にサタンが目の前に現れた。
※イエスは40日間断食をするが、旧約聖書の出エジプト記のモーセが40日間断食したのとイスラエルの民が40年間放浪したのが投影されている。


すると悪魔が近づき
「あなたが神の子なら
石ころをパンにするように神に命じなさい」
と言った。


イエスは
「人はパンだけで生きるのではなく、
神の口から出る1つ1つの言葉によって生きる」
と言った。


それを聞いた悪魔はイエスを聖なる都の神殿の頂きに立たせて
「あなたが神の子なら身を投げてみろ。
神は使いを出してあなたが地面に激突するのを防ぐだろう」
と言った。


イエスは
「私の神を試してはならない」
と言った。


今度は悪魔はイエスを非常に高い山に連れて行き、眼下に広がる様々な王国を見せて
「もし悪魔を拝むなら、あなたにこれら全部を差し上げましょう」
と言った。

ドゥッチョ作「山頂での誘惑」(1308年)

イエスは
「引き下がれサタン。私は神だけを拝み、神だけに仕える」
と言った。


すると悪魔は消えて、
神の使いが近づいてきて「バプテスマのヨハネが捕えられた」と聞いた。
※バプテスマのヨハネはイエスの存在に触発されて権力者ヘロデ王による不道徳を正しに行ったが、逆に捕らえられてしまっていた。


イエスはバプテスマのヨハネを探すために旅立った。
ヨハネが捕らえられたことを知ってイエスは自分がヨハネの代わりに説法をして廻らないといけないと考えた。


ガリラヤ湖のほとりを歩いていると
双子の兄シモンと弟アンデレの漁師の2人に出会った。


右上の湖がガリラヤ湖。



2人は夜通し漁をしていたが、1匹もかからなかったのだが、
イエスが網を下せと言うと、網が破けそうなほどの大量の魚がかかった。

ドゥッチョ作「ペテロとアンデレの召命」(1308年)

※のちにシモンにペテロという名前が与えられます。


イエスは
「私についてくれば、
人間を捕える漁師にしてあげます」
と言うと2人はイエスに従った。


さらに歩いてゼベタイという地域の
漁師のヤコブとヨハネ(洗礼の人とは別人)
にも声をかけて従えた。

※この使徒のヨハネはバプテスマのヨハネと区別するために
ゼベダイのヨハネと呼びます。


イエスはガリラヤ全土をまわり、
福音を述べて民のあらゆる病気やわずらいを直した。


この地図の上の方の地域がガリラヤ。




イエスのうわさは瞬く間に広がった。
イエスは多くの人達の病気を治し、
多くの人がイエスに従った。



5章~7章はイエスが群衆に伝えた教えの内容。
一般的にその出来事を
「山上の垂訓(さんじょうのすいくん)」
と呼びます。



5章
イエスは群衆を連れて山に登り、教えを述べた。

カール・ハインリッヒ・ブロッホ作「山上の垂訓」(1877年)

気になるものをピックアップします。

イエスの八福の教え
1.心の貧しい者は幸いである。
2.悲しんでいる人は幸いである。
3.柔和な人は幸いである。
4.義に飢え乾いている人は幸いである。
5.憐れみ深い人は幸いである。
6.心の清い人は幸いである。
7.平和を作りだす人は幸いである。
8.義のために迫害されてきた人は幸いである。


ルールの中でも最も小さい物を破るものは天の御国では最も小さい者と呼ばれ、
小さいルールも守るものは最も偉大な者と呼ばれます。





6章
この章も教えの続き。
人に見せるために善行やお祈りをすると、
天にいる父が報いを受けられません。


祈る時は奥の部屋に入って戸を閉めて隠れたところで行いなさい。
そうすれば天にいる父が隠れたところから見ていてくれてあなたに報いを下さいます。


何を食べるか、何を飲むか、何を着るかなど心配するのはやめなさい。
野の鳥は種まきも刈り入れもしないが、それでも生きています。


明日のことは明日が心配するので、労苦はその日その日で十分です。





7章
裁いてはいけません。裁かれるからです。
聖なるものを犬に与えてはいけません。豚に真珠を投げてはいけません。
それを足で踏みにじるからです。
※ことわざの豚に真珠の語源。


求めなさい。そうすれば与えられます。
探しなさい。そうすれば見つかります。
叩きなさい、そうすれば開かれます。
自分の子がパンを下さいというのに、誰が石を与えるでしょうか。


これらの教えを群衆に語り終えると、群衆は驚いた。
イエスが律法学者のようにではなく、権威ある者のように教えたからである。
※権威とは「神の声を聴くことが出来る特殊な力」のことです。





8章
イエスは山から下りた。
群衆もイエスに従った。


イエスは湖の向こう岸にいくための用意をするように群衆に言った。

右上のガリラヤ湖。


イエスが船に乗り、弟子たちも乗った。
湖に大暴風が起こり、船は大波を受けた。

レンブラント作「ガリラヤ湖の嵐の中のキリスト」(1633年)


イエスは慌ててる弟子たちを尻目に
風と湖を叱りつけて暴風をとめた。


弟子たちは
「風や湖までもこの人の言うことを聞くとは一体どういう方なのだろう」
と言った。





9章
イエスは取税所に座っていたマタイについてくるように言った。
マタイはイエスに従った。

カラヴァッジョ作「マタイの召命」(1599年)


イエスが家で食事をしていると大勢の人がやってきて
「なぜあなたは罪人や取税人といっしょに食事をするのですか」
と言われた。


イエスは
「医者を必要とするものは丈夫な者ではなく、病人です」
と言った。


※取税人とは、通行税を取る仕事をしている人で、
当時は罪人や遊女と同列くらいに扱われていた不名誉な人達です。





10章
イエスは12の弟子を呼び出して、
12の弟子に病気を治す力を授けた。

十二使徒は
漁師であった兄シモンと弟アンデレ、
ゼベダイという地域の漁師の兄ヤコブと弟ヨハネ、
ピリポとバルトロマイ、
トマスと取税人マタイ、
アルパヨの地域のヤコブとタダイ、
熱心党員シモンとイエスを裏切ったユダである。


1シモン→ルカの福音書でイエスからペテロという名前をもらう
2アンデレ
3ヤコブ
4ヨハネ→ゼベダイのヨハネ
5ピリポ
6バルトロマイ
7トマス
8マタイ
9ヤコブ
10タダイ
11シモン
12ユダ

イエスは十二使徒に
「あなたがたは無償でこの力を受け取ったので
無償で病人を癒してあげなさい」
と言った。


さらに、
特別な力を持つことで傲慢にならないことや、
特別な力を持つことに妬みを持たれて
鞭打ちなどの迫害をうけることもあるだろうが、
耐え忍ぶことを教えられた。





11章
獄中にいた水のバプテスマのヨハネは
イエスの噂話を聞き、弟子に
「おいでになるはずの方はあなたですか?」
とイエスに伝えるようにいった。





12章、13章
十二使徒と別れたイエスは安息日に麦畑を通過していたが、
弟子たちはひもじくて穂を食べてしまった。


それを見つけたバリサイ人は
イエスにしてはならないことをしたといった。


しかしイエスは昔のダビデの例を出し、説いた。


イエスは会堂に入り、病気の人を直し、
人々はイエスに従った。


稲穂を取られたバリサイ人がイエスを殺そうとしたが、
イエスは脱出に成功し、その土地を離れた。





14章
その頃ヘロデ王は姦淫の罪があると
バプテスマのヨハネに批判されていたので
牢屋にいる彼を殺したかった。


しかし民衆がヨハネを預言者と認めているので
群衆の反旗を恐れて殺せなかった。


ヘロデの娘サロメの誕生日に何でも願いのものを与えるとしたが、
サロメが母親にそそのかされてヨハネの首を要求した。


ヘロデ王はヨハネを殺すことに肯定的ではなかったが、
サロメの誕生日に人が集まっており、
みんなの前で前言撤回をしたくなかったので
仕方なく牢の中のヨハネの首をはねて
盆にのせて娘サロメに与えられた。

カラヴァッジオ作「洗礼者ヨハネの首を持つサロメ」(1607年)


その首を持ってサロメは母親に見せにいった。
ヨハネの弟子がそのことをイエスに報告した。





15章、16章
5つのパンを5000人に分け与え、満腹にさせ、
7切れのパンと1匹の魚で4000人の人達を満腹にさせた

ティントレット作「パンと魚の奇跡」(1545年)





17章~19章
ストーリーに関係ないので割愛。





20章
イエスは「エルサレムに向かう」と12人の弟子に言った。
道中の盲人2人の目を直してあげた。





21章
エルサレムに近づき、オリーブ山のふもとまで来た時イエスは弟子に
「向こうの村からロバをもってきなさい。
神が必要といっているのですと言えば大丈夫」
と言った。
弟子がロバを連れてくるとイエスはロバに乗った。


イエスがエルサレムに入るとついてきた群衆はエルサレムの人達に
「預言者イエスだ」
と言った。


宮殿に巣食う悪い奴を追いだして
宮殿内の盲人や足のなえた人を直した。

エルグレコ作「神殿から商人を追い払うキリスト」(1645年)

神聖なエルサレムの神殿内で商売をする商人を鞭で追い払った。


イエスは宮殿に泊まらず近くの村に泊まり、
帰り道にお腹がすいたのでイチジクの木から実を取ろうとしたが、
実が1個もなっていなかった。


イエスは
「もう実が一生ならないように」
と言うとイチジクの木が枯れた。


それを見た弟子が驚いたがイエスは
「信じて祈りを求めるなら何でもその通りになる。
山に動いて海に入れと言ってもそうなる」
と言った。


宮殿に戻ると、宮殿にいた祭司長や律法学者が
イエスに長いたとえ話で
批判されていることに気付いてイエスを捕えようとしたが、
群衆がすでにイエスを預言者と認めているので
群衆の反旗をひるがえすのが怖くて動けなかった。





22章、23章
引き続き祭司や律法学者によって
イエスは試されるような質問をされ続けたが、
イエスはたとえ話を用いて彼らを黙らせ、
それ以降イエスにあえて質問をするようなことをする人は現れなかった。





24章
イエスがエルサレムの宮殿を出てオリーブ山にいった。

弟子たちは「この世の終わりの前兆を教えて下さい」と言った。


イエスは
「私の名を語るものがたくさん現れて惑わしてきます。
また戦争が起こるうわさを聞くでしょうが、あわてないようにしなさい。
紛争はいずれ必ず起こるものなのでそれが終わりがきたと思わないこと」
と言った。


苦難が続くのでそれに便乗してイエスの名を語るものや
偽預言者や不法がはびこったりするが、
それを耐え忍んだものは救われると言った。





25章
誰でも持っている者はさらに与えられて豊かになり、
持っていない者は持っているものまで取り上げられる。



26章は最後の晩餐の場面

26章
祭司長と長老たちは集まって過ぎ越しの祭りの時に
人の子は十字架につけられるために引き渡されるので、
そのときにイエスを殺そうと共謀した。


その頃、弟子のユダが祭司長のところに行って
「イエスをあなたがたに売るとしたらいくらになりますか?」
と聞くと祭司長たちは
「銀貨30枚だ」
と言った。
※銀貨だけでは動機として弱い。
ユダはイエスが神殿でムチを打つなどの激しい行為に
人間的に疑問を感じていた末にイエスを売ったと考えられている。



そのころからユダはイエスを引き渡す機会を狙っていた。

弟子たちはイエスに言われて過ぎ越しの食事を用意した。
夕方にイエスは12弟子と一緒に食卓についた。

レオナルド・ダヴィンチ作「最後の晩餐」(1498年)


食事をしているときにイエスは
「あなたがたのうちの1人が
私を裏切ることをあなたがたに告げます」
と言った。


弟子たちは悲しんで次々に
「私ではないですよね?」
と聞いた。


イエスは
「私が鉢にパンを浸したものを渡した人が私を裏切ります」
と言った。


するとユダが
「先生、私のことではないでしょう?」
と言ったがイエスは
「いや、そうだ」
と小声でユダだけに聞こえるように言った。


ユダはその場から出て行った。
他の弟子達はイエスがユダに何か頼んだと思って気にもしなかった。


イエスはパンをちぎり祝福してから弟子に与えた。
「これは私の体です。食べなさい」
と言った。


またぶどう酒の入った杯を祝福して弟子に与えて
「これは私の契約の血です。飲みなさい」
と言った。


そしてみんな賛美の歌を歌ってから
オリーブ山に向かった。



弟子のペテロは
「他の者がイエスを見捨てても、
私は決して見捨てません」
と言うとイエスは
「今夜にわとりが鳴く前にあなたは私のことを3回知らない」
とペテロに告げた。


イエスはゲツセマネというところに行って神に祈りをささげる間、
弟子たちはそこで座って待っていろと言った。


イエスは弟子たちに目を覚ましていろと言ったが、
3度の祈りの間にイエスが3回戻ってきても弟子たちは寝ていた。


というよりも弟子たちは目をあけることができなかった。
そして3回の祈りが終わって戻ってきたときに
ユダが剣や棍棒を持った大勢の群衆を率いてきた。


ユダは「先生。お元気で」と言ってイエスにキスをした。
誰がイエスなのかを明確にするために
祭司長たちにイエスにキスをしろと言われていたからである。

ジョット・デ・ボンドーネ作「ユダの接吻」(1304年)

イエスはユダに「何のために来たのか」と言うと、
その瞬間群衆がイエスを捕えた。


大司祭のしもべは
使徒の先制攻撃で耳を切り落とされた。


イエスは使徒に
「その剣を納めなさい。
剣を取るものは剣で滅びます」
と言った。


イエスは大司祭カヤパの元に連れて行かれた。
弟子はみんなイエスを見捨てて逃げ出したが、
弟子の1人のペテロは群衆に紛れて成り行きを見ようとした。


イエスが裁判でおとしめられて
死刑になろうとしていた。


ペテロは隣にすわっていた女性に
「あなたはイエスといっしょにいましたよね?」
と言われて3回否定したら、
にわとりが鳴き、イエスの言うとおりになった。


ペテロはその場から逃げながら
イエスの言うとおりになってしまったので激しく泣いた。



27章でイエスが十字架にかけられます

27章
夜が明けると祭司長はイエスを死刑にするために協議した。
イエスを縛って総督ピラトに引き渡した。


その時にイエスを売ったユダが後悔し、
銀貨30枚を祭司長に返して
「私は罪を犯した」
と言ったが、
「私たちの知ったことか。自分で始末することだ」
と言われた。

レンブラント作「銀貨30枚を返すユダ」(1629年)


ユダは銀貨を神殿に投げつけて、
外に出て首を吊って死んだ。



総督ピラトはイエスに
「あなたはユダヤの王ですか?」
と聞くと
「その通りです」
とイエスは答えた。
※王を名乗るものは政権転覆を狙う重罪として死刑になる。


過ぎ越しの祭りでは
群衆の支持を得るため、囚人の1人を解放していた。


そこでピラトはバラバという男か
イエスのどちらかを解放するように群衆に聞いた。


群衆はバラバを選び、
イエスは十字架にかけるように叫び続けた。
裏では兵士が民衆の中に紛れ込んでバラバを選ぶように誘導していた。
※バラバは過激な政治犯で解放するのはとても危険だが、
イエスを最もらしく死刑にするために慣習に乗っ取って正当性を出すために、
バラバを選ばさせた。



ピラトは十字架はやりすぎだと思ったが、
群衆が暴徒化しつつあったので、
それを押さえるために
イエスを十字架にかけることにした。


イエスをムチで打ってから、
着物を脱がして緋色の上着を着せた。
いばらの冠を頭にかぶらせ、
右手に葦を持たせた。
※勝利を祝って行進したローマ法皇を真似して、
緋色の上着といばらの冠を着けさせ、自分で王を名乗ったイエスをあざけっている。



群衆は
「ユダヤの王さま。ばんざい」と
からかって言った。

ヒエロニムス・ボス作「エッケ・ホモ(この人を見よ)」(1490年)


イエスはゴルゴダという場所で十字架につけられた。

コッラード・ジアキント作「ゴルゴダの丘への道」(1754年)

ゴルゴダの丘へは自分で十字架を担いでいくことになっている。



頭の上には
「これはユダヤ人の王、イエスである」
と罪状書きを掲げた。
※先にも言ったとおり、王を名乗るのは重罪。


イエスの左右には強盗も2人十字架につけられた。
手首に釘を打ち付けて磔にする。
数時間~数日は生きており、その間に見物人にあざけられた本人とその家族の評判は二度と回復することはない。

アンドレア・マンテーニャ作「磔刑図」(1459年)


道行く人々はイエスを罵った。
そして
「神殿を3日で作ることができる人なら、
十字架から降りて自分を救ってみろ」
と言った。


祭司長たちも
「他人を救えるが、自分は救えない」
とあざけって言った。


午後3時頃にイエスは
「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」
と叫んだ。

これはアラム語で
「神よ神よ、どうして私をお見捨てになったのですか」
という意味である。
そして、もう一度叫んだ後イエスは息を引き取った。


すると、神殿の幕が上から下まで真っ二つに裂け、地面が裂けた。
また墓が開いて眠っていた聖徒達が生き返った。


その恐ろしい光景を見た群衆は
「イエスはまことに神の子であった」
と言った。


余談
本編には書いてないが、
イエスを十字架から降ろす前に
イエスの脇腹にロンギヌスの槍を刺して
生きているか確認したという。



レンブラント作「十字架降下」(1634年)


十字架から降ろしたイエスを母マリアが優しく抱きかかえる図は、
「ピエタ」という名前で広く知られており、
とても多くの絵画や彫刻の作品にされています。

1600年頃の絵画

イエスの遺体は仕えていた人達によって亜麻布に包まれ、
岩を掘って作った墓に納められた。


ピラトの元に人が来て
「イエスは生前に3日後に蘇る」
と言っていたというので、
3日の間、イエスの墓番をするように命じた。





28章
安息日が終わってマグダラのマリヤが墓を見に来た。
すると大きな地震が起こり、
神の使いが天から降りてきて石をわきへころがして墓の上に座った。


神の使いはマグダラのマリヤに
「恐れてはいけません。イエスは蘇りました。
納めてあった場所を見てごらんなさい。このことを弟子に伝えなさい」
と言った。



ハンス・メムリンク作(1490年)
この絵はマリヤが来る前に
イエスが墓から出た時の様子を描いている。
見張りをしていた兵士は皆眠ってしまっている。



マグダラのマリヤは神の使いの言うとおりに
墓の中を見るとイエスの遺体は無かった。


マグダラのマリヤは弟子たちに走って知らせに行った。
その途中にイエスがすでに居て「おはよう」と言った。
マグダラのマリヤはイエスの足にすがりついた。


イエスは
「弟子たちにガリラヤに行くように言いなさい。
そこで私と会いましょう」
と言った。
※ガリラヤのナザレはイエスの育った故郷。


生き返ったイエスの姿を最初に見たのはマグダラのマリヤのみで、
最初に復活を理解したのはマリヤです。
そういう意味でとても重要な人物です。



イエスが生き返ったことは
祭司長たちの耳にも入ったが多額の金をかけて
「イエスは弟子たちによって墓から持ち出された」
とひろめることにした。


それによって墓からイエスが持ち出されたという話は
ユダヤ人の間に広まって今日に至る。


11人の弟子(ユダは自殺済み)はガリラヤの山に登った。
山頂にイエスが居て礼拝した。


イエスは彼らに
「あなたがたはあらゆる国の人々を弟子にしてバプテスマを授け、
私があなたがたに命じたルールを全て守るように彼らに教えなさい。
私は世の終わりまでいつもあなたがたと共にいます」
と言った。

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マタイの福音書はこれでおしまいです。
そのまま「使徒の働き」につながるので
確認してみてください。

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絵画も多く、初心者に一番読みやすい。

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独立切子士として、
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箴言の箴の文字を工房の名前に取り入れました。


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